電力取引監視等委員会
電力取引監視等委員会の設立
2015年9月1日、自由化後の電力市場での取引などを監視する組織として、外部有識者5名を委員とする「電力取引監視等委員会」を設立しました。(従来にない権限を有する最も強い8条委員会)
電力取引監視等委員会の業務
- 小売全面自由化等を踏まえた電力取引の適切な監視
- 説明義務の履行状況等に係る立入検査、事業者への業務改善勧告、経過措置料金の審査実務、大臣への意見具申等
- 電力のネットワーク部門の中立性確保のための厳格な行為規制の実施
- 差別的取扱い・グループ内の取引規制等に係る立入検査、事業者への業務改善勧告、託送料金の審査実務、大臣への意見具申等
特徴
監視・規制の対象者である電気事業者等から「独立」し、電気事業者等と伍することができる「高度の専門性(『規制の虜』とならないようにする)」を有する組織としています。
小売参入全面自由化に伴う電気事業類型の見直し
小売参入の全面自由化により、従来の「一般電気事業」や「特定規模電気事業」といった、電気の供給先に応じた事業類型の区別がなくなります。
それに代え、発電事業、送配電事業、小売電気事業という機能ごとに、必要な規制を課します。
(発電事業は届出制、送配電事業は許可制、小売電気事業は登録制とします。)
現行制度(部分自由化) |
小売参入全面自由化後 |
既存電力会社 (一般電気事業者) |
- 「一般の需要」への供給を行う。
- 家庭等の規制部門への供給は、供給義務・地域独占・料金規制(総括原価方式による認可制)
|
発電事業 |
送配電事業 |
小売電気事業 |
新電力 (特定規模電気事業者) |
- 自由化された大口需要(「特定規模需要」)への供給を行う。
|
発電事業 |
|
小売電気事業 |
電源開発、日本原電、 製鉄・製紙メーカー等 |
- 一般電気事業者・特定規模電気事業者への供給を行う。
|
発電事業 |
|
|
|
【届出制】 |
【許可制】
- 公的インフラとして運営。
- 地域独占・料金規制(総括原価方式による認可制)
|
【登録制】
|
発電、送配電、小売の各事業者の自由化後の姿
発電事業者
- LNG、石炭火力については今後、発電事業者の新規参入が見込まれる。
- 資源確保を有利に進めるためには、発電事業における企業・業種を超えたアライアンスによるバーゲニングパワーの発揮が重要。
- 今後の課題は、①ベース電源をはじめ必要な電源をいかに確保するか、②新規参入の発電事業者に対し送配電網への公平なアクセスをどう確保するか。
電源種別 |
電源の特性 |
発電電力量割合 |
震災前(H22年度) |
震災後(H24年度) |
LNG火力 |
ミドル・ピーク電源、CO2排出量小 |
29.3% |
42.5% |
石炭火力 |
ベース電源、CO2排出量大 |
25.0% |
27.6% |
石油火力 |
ピーク電源、CO2排出量大 |
7.5% |
18.3% |
原子力 |
ベース電源、CO2排出ゼロ |
28.6% |
1.7% |
水力 |
ベース電源(揚水はピーク電源として使用)、CO2排出ゼロ |
8.5% |
8.4% |
再生可能エネルギー等(水力以外) |
固定価格買取制度により導入が拡大、CO2排出ゼロ |
1.1% |
1.6% |
送配電事業者
- 送配電部門については引き続き地域独占・料金規制(総括原価方式等)が残る。
- 送配電ネットワークの建設・保守は送配電事業者が行い、今後の人口減少下においても、過疎地も含めて安定供給を確保する。
- 小売事業者の撤退・破綻時に備えた「最終保障サービス」や、離島へのユニバーサルサービスを送配電事業者が提供することで、最終的な供給保障が確保される。
小売電気事業者
- 多様なプレーヤーの参入により、「電気を選べる」ようになるとともに、ピークシフト料金など多様な料金メニューの提供も期待される。
- 【具体例】
- ①他地域の一般電気事業者の参入
- 電気と他の製品・サービスとの「セット販売」
- ガス・石油など他のエネルギー企業による参入
- スマートメーターの導入で需要家の選択によるスマートな消費が実現し、省エネが進む。
用語の概説
<現行の電気事業者類型>
○一般電気事業者…各地域の電力会社(東京電力、関西電力など、全国10社)。これまで、発電・送配電・小売を一貫的に行ってきた。家庭等の小口部門については、現在独占的に電力を供給している。
特定規模電気事業者(「新電力」)…現在部分自由化されている大口部門について、電力の供給を行う、新規参入事業者。
※「一般電気事業者」「特定規模電気事業者」という制度は、自由化後は無くなる。(小売を行う事業者については、基本的に小売電気事業者に一本化される)
※上記の類型の他に、現行制度上の事業者類型は複数存在する。
<自由化後の電気事業者類型>
発電事業者…電気の発電を行い、送配電事業者や小売電気事業者に電力を供給する事業者。参入は自由(届出制)。
一般送配電事業者…送配電網を保有・管理し、送配電ネットワーク内の電気の安定供給を保つ事業者。現在の一般電気事業者の送配電部門が一般送配電事業者となる。新規参入は基本的にできず、地域独占・料金規制あり。(許可制)
小売電気事業者…消費者への電気の小売を行う事業者。参入には、政府の登録を受ける必要がある(登録制)
※上記3つの基本的な類型の他に、例外的な事業者類型が数種類存在する。
<その他用語>
託送供給…送配電事業者が、自社の送配電網を使い、発電所から各消費者に電気を送ること。その料金(送電線使用料=「託送料金」)は基本的に小売電気事業者が電気料金に含めて各消費者から回収し、送配電事業者に支払う。